健診と人間ドック(PET検診、がんドック等)の検査

日本では、労働安全衛生法という法律によって、事業主や医療保険者、自治体が定期的に健診(健康診断)を実施するように義務付けており、これによりすべての人が、無料もしくは一部自己負担で健診を受診できるようになっています。40歳未満のお勤めの方が受けるのが、一般健康診断(職域健診)で、定期健診や雇入時健診などが該当します。職場で受ける機会がない方は、地方自治体が実施している住民健診を受けます。

放射線の診断医

これらは身体計測や血液検査、尿検査、血圧測定など、短時間で簡単に行える基本的な項目ばかりで、生活習慣病のリスク要因となる肥満度、病気のあるなしを見つけ出す「スクリーニング検査」です。隠れている病気を確定診断することはできませんが、以上を占めてしている臓器を絞り込むことができるため、病気発見の手掛かりになるという点で有効です。

生活習慣病の元凶となるメタボリックシンドロームの早期発見・治療を目的として、40~74歳の被保険者を対象に1年に1回実施されているのが、特定健康診査・特定保健指導です。従来の「受けっぱなし」の検査と異なり、医師や看護師などによる保健指導がセットになっており、必要に応じて食事や運動についてのアドバイスを受けることができ、生活習慣の改善につなげようというものです。

一定の年齢の人を対象に、無料クーポンや健診手帳を配布し、がん検診、骨粗しょう症検査、肝炎ウイルス検査などを実施している自治体も増えています。自治体により実施項目や補助対象となる検診は異なりますので、お住いの市区町村のホームページでご確認ください。

任意型健診とは、個人の判断で自由に健康診断のことで、人間ドックがその代表です。基本検査に加えて、MRI(磁気共鳴画像)やMRA(磁気共鳴血管造影)、CT(コンピュータ断層撮影装置)、PET(陽電子放射断層撮影装置)などの画像診断装置を使用して、幅広く健康状態を調べます。検査項目は、日本人間ドック学会と日本総合健診医学会で基準が示されていますが、医療機関によってその内容は異なります。

人間ドックの種類は、臓器・部位別、性別によりコース分けがなされています。既に持病がある方、親や親せきにがんや脳卒中になった人がいる方、不規則な生活習慣を送っている方など、ご自身のリスクが高い病気がわかっている場合は、特定の病気を調べるためのオプション検査を追加することもできます。

がんドック
PETとCTを組み合わせたPET-CTや、腫瘍マーカー検査を中心として、がんの早期発見を目指すものです。PET検査は、がん細胞が活動する際に必要とするブドウ糖の量が多いという性質を利用した放射線検査で、1回の撮影で全身のがんを調べることができるため、患者の負担が少ない方法として注目されています。

脳ドック
頭部の断層を撮影するMRI検査をはじめ、頸動脈エコー、血液検査、血圧測定などを行うことで、症状のない脳梗塞、くも膜下出血を引き起こす未破裂脳動脈瘤、脳腫瘍、初期の認知症を早期発見、あるいはそのリスクを評価します。

心臓ドック
心エコー、心電図検査、心臓CT検査、胸部エックス線撮影などにより、心筋梗塞や狭心症などの心疾患を早期発見します。心電図は安静時だけでなく、運動で負荷がかかっている際の測定を行う負荷心電図、24時間記録するホルター心電図などを活用することで、潜在する病気も発見しやすくなります。

レディースドック
マンモグラフィー、乳腺エコー、膣分泌液の採取、甲状腺ホルモン検査などを行い、若い世代の女性にも増えている乳がん、子宮頸がん、甲状腺疾患(バセドウ病など)、骨粗しょう症などを調べます。

人間ドックに代表される任意型健診は、健康な人が自由意思で受診するものですので、基本的には健康保険は適用されず、全額自己負担となります。ただし、国民健康保険組合などで、人間ドックの一定補助を行っている場合もあります。

PET (Positron Emission Tomography)

プラスの電気を帯びた電子(陽電子)であるポジトロンを放出するアイソトープでマーキングされた検査薬を注射し、それが体内でどのように分布しているかを専用のカメラを使って映像化する診断方法です。

アルツハイマーの早期発見

甲状腺や頚部、頭部のがんや悪性リンパ腫などを調べる方法の一つとして利用されており、他の医療機器と比較して診療所に設置されている割合が高くなっています。

従来はがんが疑われる場合の確定診断や、再発診断に威力を発揮するとされてきましたが、最近では初期のアルツハイマー型認知症の診断に活用されるケースが増えてきています。認知症の早期発見はMRIでは困難でしたが、PETでは症状が出る前の早い段階での異常を察知することが可能です。

ただし、PETによる検査では保険診療になるものと自費診療になるものがあり、健康診断等は自費扱いとなり、認知症診断についても現段階では同様となっています。

企業健診や医療機関で実施する検査内容

自分の健康状態をチェックする目的で学校や企業で行われる健診、検査メニューが増え、自分に合ったオーダーも可能な人間ドック、特定の臓器の病気を早期に発見する脳・肺・心臓ドック、あるいは病気の自覚症状が出てから医療機関で受ける検査など、私たちが医療機関で受ける検査には様々な種類があります。

異常が見つかれば精密検査へ

人間ドック等は別として、医療機関を受診した際にはまずは医師が問診を行って、患者さんの症状を把握してどんな病気の可能性があるのかの見当をつけてから、必要な検査が選択されますので、いきなり専門的なものが行われることはありません。むしろ、咳や鼻水、発熱程度のかぜを疑われる一般的な症状であれば聴診器などによる診察のみで、薬の処方や生活上の注意点などを指示しただけで診察終了となることがほとんどです。

しかし、何か気になる症状がある場合、症状は重くなくても長期間改善が見られない場合など、念のために詳しく調べたほうがよいと医師が判断したら、採血や尿、レントゲンなどが行われることがあります。その結果、異常が見つかれば精密検査の出番となります。検査項目を選択する際には、患者さんの過去の病歴や家族の健康状態(親兄弟にがんなどの特定の病気の人がいるか等)なども参考になります。

医療機関で実施される検査としては、まず医療機器を用いて患者さんの体を直接調べる「生体検査」があります。血圧、肺機能、心電図、脳波の測定、CTやMRI、内視鏡検査などが該当します。

もう一つの検査が血液、尿、喀痰など患者さんから採取した検体を分析することによって病気の診断をつける「検体検査」です。なかでも採血で血液中の赤血球や白血球、血小板の数を測定することは、一度の採血で全身の健康状態を把握できるので集団検診や外来受診でも行われる頻度の高いものとなっています。これらは病気の「可能性」があるかどうかを調べるスクリーニング(篩い分け)が目的直野で、これだけで病気の確定診断をつけることは多くの場合無理です。最終的な診断をつけるものには、針を刺して髄液などの検体を採取する穿刺など、身体的な負担が伴う検査が行われることがあります。

がん治療を行う際の医療機関の選び方

がんと診断された病院で、そのまま治療に進むこともありますが、治療の方針について心配や不安があれば、率直に医師や看護師に伝えましょう。セカンドオピニオンを受けるのもいいでしょう。がん拠点病院は質の高いがん医療を行うための体制が整っています。どの病院を受診すればよいかわからないときは、全国にあるがん拠点病院の相談支援センターに問い合わせてみましょう。

病院によっては、がんの種別ごとの治療件数や生存率を公開しているところもあります。また、病院のランク付けをした書籍や雑誌の最新版も発行されています。ただ、これらのデータをそのまま判断することはすすめられません。がんの病期や治療法、合併症の影響など、様々な条件を考慮しないと、生存率が高い施設や上位ランクにある病院が、必ずしも自分の診療に適しているとは限らないからです。

がんの治療は比較的長期になることが多いので、通院や付き添いの便なども考慮して、本人や家族の負担がより少ない病院を選択することが大切です。以前は主に入院したうえで行なっていた治療法が、外来への通院だけで可能な場合も増えています。また、がん以外の持病、例えば脳卒中や心筋梗塞、高血圧、糖尿病などがある人は、がん専門病院よりも他科との連携がとれる総合病院の方が安心なこともあります。

治療の内容によっては、機能回復のためのリハビリテーションが必要なことがあります。このような場合には、医師、看護師に加えて理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などによるサポートを受けることがあります。そのため、専門医だけでなく、コメディカル(医療関連従事者)のスタッフが充実している施設であるかどうかも、病院選びのポイントの一つとなります。

さらに、病院内にある相談支援センターや医療相談質などの窓口では、診断直後から退院後の生活まで、長期間にわたって様々な場面でサポートしてもらうことが考えられます。そのため、相談専用の部屋が整備されているか、スタッフは丁寧に対応してくれる科なども重要なファクターとなります。